「足るを知る」フルーツ店

あっという間に年末となり、少々焦り気味のムーラン(林)です。多分これが今年最後の投稿かと。

実家に車で行く時、いつも通る道沿いに、1軒の小さなフルーツ店がある。

大きな交差点の手前にある店なので、車が赤信号で止まる事が多く、私はいつもそのフルーツ店の様子を助手席から眺めている。

フルーツ店と言ってもオシャレな感じは一切なく、間口も奥行きも狭く、少し腰の曲がったおばあさんが1人で営んでいるお店である。たまに娘さんらしき女性が手伝っているのを見かけるが。

置いてあるフルーツには全く気取りがなく、旬のものばかりで、ダンボールの切れ端に書いてある手書きの値段はどれもすごく安い。

朝早くから開店していて、徒歩や自転車で買いに来るお客さんでいつも繁盛している。

駐車場などないので、近所の常連さんばかりと思われる。馴染みのお客さんとお喋りしながら働く店主は、いつもとても楽しそうである。

間口の狭い、古い建物の一階が店で、おそらく店主はその上に住んでおられるのだろう。

持ち家だろうから、テナント料は必要ないので、フルーツの単価もギリギリにつける事ができるのだと思われる。置いてあるフルーツの数も決して多くはない。売れ残って無駄にすることは発生しないだろう量である。

店主は「儲けよう」とか、「もっとたくさん売ろう」なんて事は一切考えていなくて、きっと、店に立つ事がご自分の「生きがい」なのだと。

朝早くからお客さんとお喋りしながら果物を売って、心地よい疲れを感じてよく寝る。

そんな1日の繰り返し。

多分、ただそれだけ。

それ以上でもそれ以下でもなくて。

決して自分の手に余る事はしない。

「足るを知る」

おばあさん店主の楽しそうに働く様子を見ながら、いつも「なんか素敵だな」と、思う私である。

おそらく、ご自分のカラダが動く限りは続けようと思っておられるのだろう。儲けなどは度外視で。

一日でも長く続けてほしいな、と願っている。