『枯葉色グッドバイ』

ムーラン(林)です。

何だかバタバタとしていて、コレが2025年の初「よもやま話」です。

表題は、樋口有介という作家の20年以上前の作品である。

何のきっかけか忘れたけれど、おそらくデビュー作の『ぼくと、ぼくらの夏』を読み、とても面白く、その後しばらく樋口有介作品にのめり込んだ。この『枯葉色グッドバイ』も20年くらい前に読んで、ずっと手元に置いてあった。ホームレスが主人公だった事は覚えていたが、話の内容はスッカリ忘れていた。

で、20年ぶりに再び読んでみた。

やはり、面白かった。ミステリー(その内容はなかなかヘビーである)仕立てではあるが、ミステリー展開そのものより、登場人物同士の会話がすごく軽妙で面白い。

そういえば樋口有介の作品は全部そうだった気がする。

そこが好きだった。

20年前にこれを読んだその後、他にも樋口作品をたくさん読んだが、何となくどれもこれに優る気がせず、いつの間にか私の中のブームは去った。

なぜ今、再び読む気になったのかと言うと、先日立ち寄った書店でこの本が書店員の「没後3年、今、改めての樋口有介」との手書きポップとともに平積みにされていたから。

表紙も今風の洗練された絵になっていた。

そうか、そう言えば樋口有介さん、70歳位で亡くなったんだった。

もっと書いて欲しかったな。

あの魅力的な会話をもっと読みたかった。

他の持っていた樋口有介作品は売ってしまったが、この本だけは売らずに持っていたのも何か意味があったのかな。

軽妙な会話によって描かれる登場人物の人間性も面白く、独特で、「これぞ樋口有介」と思える代表作だと思う。

残念ながらもう作品は増えないので、やはりこの本は手元に残しておくことにしよう。