「白寿記念 堀文子-私流の生き方を求めて-」
ムーラン(林)です。
表題の展覧会に行ってきた。堀文子さん御年99歳。なお現役画家。
堀さんは「群れない、慣れない、頼らない」をモットーに孤高の画家として歩み続けてきた人。
まさにその生き方に触れた。
色鮮やかで、とても繊細で、暖かで、堀さんの植物や生物に向かう姿勢が心に迫ってくる絵ばかりだった。
例えば『幻の花 ブルーポピー』。色鮮やかなブルーポピーがとても繊細に生き生きと描かれているの(写真にあり)だが、堀さんは80歳を過ぎてからヒマラヤまで実物を見に行ったそうだ。
というのも、大阪で開催された花博にブルーポピーが来ると聞いて見に行ったものの、あまりに人の手が加えられていて「これは違う」と思い、意を決しヒマラヤに向かったとか。
展示とともにその絵の説明や、堀さんの言葉が添えられているのだが、絵だけではなくその言葉にも胸を打たれた。
以下はその中の一部。(私の曖昧な記憶たよりなので言い回しは違うかもしれないが・・)
「ただ黙って、手を合わせるような心で、花は見るものである。」
「植物は芽吹きの新緑から生まれ、最後は紅葉で見事に散って行く。先を争って地に還っていく落ち葉の美しさはたとえようもない。神はどの葉にもへだてなく、その生きた姿を褒めたたえ美しい装いを与えて終焉を飾ってくださる」
「歳を取ったら何もできなくなるのではなく、知らないことが増えてくる。この先どんなことに驚き熱中するのか、どんな初体験が待っているのか、その期待で、私はもう老年に甘えている暇などないのだ。」
友人が先に観に行っていて、「涙が出そうだった・・」と言っていたのだが、本当に。
堀さんは「今この瞬間は、いつも初体験」だと言う。 まさにそうなのだ。幾つになっても。
「年をとることも悪くはないな、そしてこの瞬間を大切に生きよう」と思わせてくれた、そんな展覧会だった。
長久手の「名都美術館」にて。5月28日まで。
今日から後期で一部展示入れ替え。後期では「徹子の部屋」に飾られている『アフガンの王女』が観られますよ。
枯山水のお庭もある素敵な美術館です。