漢文の世界

6期、古山です。

フリーマーケット(昨年11月、ホームカミングデー)で買った司馬遼太郎『項羽と劉邦』以来、中国の歴史物に魅せられています。

宮城谷昌光『夏姫春秋』など小説もよかったけれど、その原典が知りたく、『十八史略』を読んだら、高校の漢文の授業で習った故事成語がふんだんに出て来て、はまりました!
『十八史略』(曾先之)は中国の太古から元までの十八の歴史書を並べた書物で、中国史を学ぶ手頃な入門書であり、江戸時代の藩校で盛んに使われ、現代でも漢文の教科書によく出ています。
私は、今西凱夫訳のちくま学芸文庫の解説が丁寧で読みやすかった。
(文庫だから字が小さいのが難点)

そこに出て来る故事成語(例えば『背水の陣』『鶏口牛後』『四面楚歌』など)は今でもよく使われ、その言葉の由来を知ると、なるほどなと思います。
また、『虎穴に入らずんば虎児を得ず』のように、漢文調のリズムが耳に心地よく、『泣いて馬謖を斬る』『口に密有り、腹に剣有り』なんて、読んでてもワクワクする。

声に出して読むと、更に深みが増します。
風蕭蕭として易水寒し
壮士一たび去って復た還らず
この詩は、権力をふるう秦の始皇帝暗殺のために使わされた荊軻が、決行を前に詠んだもの…暗殺に失敗した彼は秦で刑死しますが、心情が胸に迫ります。

また、『四面楚歌』の場面では、
力、山を抜き 気は世を蓋う
時、利あらず 騅逝かず
騅逝かざるを 奈何せん
虞や虞や 若を奈何せん
という詩を項羽が唱え、最後の戦いに挑みます。

2000年以上前の人達と、時空を超えて会っているような感覚です。
『十八史略』や『三国志』に登場するような、義を重んじ友のために命を惜しまない(まさに『刎頸の交わり』)人達が、現代の中国国民と結び付かないなぁと思いつつ、「中国からの旅行者爆買い」のニュースを見ていました。

漢文の世界、久々のいい発見です。