咄嗟の返し

榊原(葉っぱ)です。

咄嗟の一言とか咄嗟の返しで人柄がわかるような気がする。
準備した言葉ではなくて思わず出る言葉は、その人の根底にあるものかなと思う。

何度も「よもやま話」に書いているが、夫は今回の抗がん剤で髪の毛が抜けてしまった。
周りの人たちは本人が気にしているほど気になっていないと思うのだが、本人は気にする。
私は「大丈夫だよ、人はそんなに気になっていないから。」とか慰めるのだが、それがかえって夫の癇にさわるみたいだ。
こんなに言葉を選んで言っているのに、もうしつこいなぁ。
なんて返したら満足するんかい。

夫は退院後、外来で抗がん剤の点滴をうけるために大学病院の外来薬物療法センターに行った。
夫は6年前から外来薬物療法センターに通っているし、
私はこのセンターで今年の3月まで働いていたから、スタッフの人たちとは顔見知りだ。
今まで髪の毛が抜けたことがなかったので、夫は恥ずかしかったらしい。
娘たちに買ってもらった帽子を被って行った。
点滴をうける時に、看護師さんに「新しい薬で髪の毛が抜けちゃった。」と言ったら、
看護師さんは「イケメンだから髪の毛なくても大丈夫!」って言ったそうだ。
夫は家に帰って嬉しそうにそのことを言った。
ちっともイケメンじゃないけどね。

昨日、夫の兄が心配して「どうだ?」と電話をしてきた。
夫はやはり気になることを一番に告げた。
「髪の毛が抜けてハゲになっちゃたよ。」
そしたら、兄は「俺と一緒だね。」と返した。
夫は「そうだね。」と笑っていた。

夫は髪の毛が抜けたことの答なんか求めてないんだ。
ただ気持ちを共有すれば、それでいいんだ。
その時にちょっぴりのユーモアで返してもらえば、少し心が落ち着くのだろう。

咄嗟の返し。
お題が出てすぐ上手い答が出るようになるには、私はまだまだってところか・・。
日々精進。