降りていく物語

榊原(はっぱ)です。
武田鉄矢の「西の窓辺へお行きなさい」という本を読んだ。
武田鉄矢はこんな風に人生を考えているのだと
テレビで見る印象とは違い意外だったが、
共感できる部分がたくさんあった。
山に登ったという事実を完成させるためには、
山から降りるという逆説を歩かねばならない。
登り続けて降りてこなければ遭難したことになる。
私もそろそろ降り方を考えていた時だった。
私は有名人のように高い山を登ったわけではないが、
高原のようなところにも頂上はありやはり降りなければならないだろうと思っていた。
本にはユングの言葉が多数引用されており
「人生という時計の針は後戻りさせることが出来ない。若い人間が外部に見出し、
又、見出さざるをえなかったものを、人生の午後にある人間は自己の内部に見出さねば
ならぬのである。」という言葉が私の心に残った。
山に登る時はただ頂上を見て登っていけばよかった。
しかし、降りていく時は360度全方向を見て降りて行かなくてはならない。
そして、人は必ず年をとるからきちんと年を重ねて降りて行かないとと思う。
本の中で川上麻衣子と対談しているページがあり、彼女が言っている。
女優の秋吉久美子が好きでコケティッシュに可愛く年を重ねてずっと変わらない印象があり、それを秋吉に伝えたら「変わっているから変わらないんだよ。」と言われたそうだ。
その時代、時代で変わらないと。若い頃に可愛いって言われた自分を引きずっていたら
置いてけぼりでかわいそうな女に見えると教わったそうだ。
本は哲学的な部分もあり少し難しかったが、50歳以上の人なら共感するところはたくさんあると思う。(年齢制限はないよ)
「降りてゆく」とは引き返すことではなく、穏やかに生きるための技術であると本の帯に
書いてある。
どのように降りていくのかは人それぞれなのだろう。
私はゆっくりと全方向を見ながら、時々は一緒に降りる人と言葉を交わしながら、
しかし、最後は自分の足でしっかりと降りて行こうと思う。
降りて行く途中の物語は機会があったら「よもやま話」に書くね。
PS. 本は「降りてゆく」とあったが、「ゆく」というのは逝くという意味があるのかちょっと分からず、私の気持ちは「降りて行く」だったので「いく」とした。
自分でも何にこだわっているのかよくわからないのだけど・・。

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