父の決断
ムーラン(林)です。
時々ココで話題にする実家の父の話。
つい先日87歳になった。そして今年は運転免許証更新の年である。
本人はまだまだ運転する気満々で、昨年愛車の車検も受けた。
さすがにもう遠出は控えているが、通院・買い物にと、少し田舎に引っ越したばかりに車がなくてはならない生活をしてきた。
だが、このところ高齢者による事故が多く、それを耳にするたび私も母も心配し、もう今年は更新せず返納するように昨年から言い続けていた。
だが、頑固な父は「まだ乗れる」とか何とか、当初は全く聞く耳を持たなかった。
父は足が悪くなってきて歩くのは不自由なのだが、運転は普通にできるので、自分の足として車は欠かせない存在だったに違いない。
それはわかる。
生活のすべてを母が営み、父は「何とか自分のことは自分でできる」そんなレベルの日常。
車で買い物に母を乗せていくこと、それが父にできる唯一の「人のためにできること」だったに違いない。
それも痛いほどわかる。
車が好きで、大型Ⅱ種の免許まで取得していた父のアイデンティティそのものだということも。
でもかつては絶対あり得なかった、車庫入れの時に擦るとか、ちょっと凹ませるなんてことがあり、その上にこのところ報道されている、高齢者による歩行者巻き込み事故。
さすがの父もちょっと考えたようで、更新は諦めた様子である。
だが、そこでまた一悶着。「ギリギリまで運転し、更新せんときゃいい」とか言う。
それだと単なる失効で、何の特典もないのに。
「ちゃんと返納すれば免許証と同じ扱いの身分証明書もらえるし、それがあればタクシーだって割り引かれるから」と説得し、やっと決断したようである。
2月11日が誕生日だった父。あとほんの少しだけ運転し、来月初めには返納すると約束した。
免許取得できる年齢にすぐ取得し、車と運転が大好きで約70年、大きな事故もせず、私たち家族の足となってくれたことに感謝したい。
お疲れ様でした。