母と娘…永遠の課題
古山です。
5/11(日)「母の日」、皆さんはどう過ごされましたか。
私は最近、母にまつわる本を友達から借りて読みました。
『母の贈りもの アン・モロー・リンドバーグ』
リーブ・リンドバーグ(青土社)
大西洋単独無着陸飛行を成功させた、チャールズ・リンドバーグ(映画『翼よ、あれが巴里の灯だ』でおなじみ)の娘が書いた本ですが、母と娘のなかなか複雑な関係を、アメリカの自然の中で淡々と描いた秀作です。
著者の母、アンは操縦士、通信士として女性飛行家の草分け的存在で、『海からの贈りもの』を出した作家でもあります。
彼女の協力がなければ、夫の偉業も達成できなかったとも言われるスーパー・ウーマンですが、晩年は認知症になり、家族やヘルパーに介護されていました。
亡くなるまでの数年の葛藤を綴った本作…借りた時は「きっとよくある、母と娘の心温まる物語かなぁ。」と思ったけど、読み進めるとあちこちに毒が吐かれていて、その正直な表現が気持ちよい。
しかも、著者の独白だけ字体が違っていて、「私もここまで目が悪くなったか。」と思うほどのインパクト。
そして、挫けそうになる著者を支えるヘルパーたちがさりげなくて、よかった。
よくある「患者様、利用者様」という態度でなく、適度の寄り添いが自然です。
また、幼児の時に誘拐、殺害された兄のこと、アメリカン・ヒーローだった父のその後も興味深かったです。
この本に限らず、ここ数年は「母と娘の関係」をテーマにした小説が多く刊行され、篠田節子『長女たち』、田房永子『母がしんどい』など読んでみたい。
母に抑圧されて来た娘たちが、「そろそろ言ってもいいよね。」と思ったのか、友達と話すと皆「ウチの母ったらさー」と出るわ、出るわ。
5年前に母は他界したけど、私もその一人…昨日も、友達と「困った母の行状」話で1時間以上も電話してしまいました。
そんなことを考えた今年の「母の日」でした。
さあ、悪口言ってないで、お墓に行ってこなきゃ…仏壇と墓守娘の仕事です。