高嶋哲夫
ムーラン(林)です。
表題は私の好きな作家の一人。
これまで樋口有介・小路幸也・三浦しをん・百田尚樹など何人かの好きな作家や作品を紹介してきたが、
今日は満を持して高嶋哲夫を。
いえ、特別に温存していたわけではないのだが、作品上、訳あって紹介するタイミングが難しかった。
どちらかと言うと社会派の作家である。
大災害小説の第一人者とも言われている。いくつか紹介したい。
最初にこの作家と出会ったのは、もう10年ほど前。作品は『ダーティ・ユー』
アメリカからの帰国子女、ユーこと雄一郎。日米の教育現場のあまりの違いに戸惑いながらも
正義に突き動かされる。
日本の「いじめ問題」に深く切り込んでいく作品だった。
次に読んだのが『M8』と『TUNAMI』
この二つには瀬戸口という若き研究者(ポスドク)が登場する。
両方とも書かれたのは阪神大震災よりは後であるが、東日本大震災の数年前。
私が読んだのもその時期。
『M8』では首都直下型地震、『TUNAMI』では東海・東南海地震が起きる。
『TUNAMI』では、まさに津波が・・そして原子力発電所が・・
これが、私が高嶋哲夫氏を紹介する時期を逸していた理由。
あの東日本大震災を、あたかも予言していたような内容なのである。
かの地震時、私は真っ先にこの作品を思い浮かべてしまった。
作家高嶋氏は、かつて日本原子力研究所の研究員だった人物である。
故にこれらの作品は渾身の大迫力で描かれている。
その他には
『トルーマン・レター』・・あのトルーマンが残していた手紙、なぜ原爆投下はなされたのか・・に迫る。
とても面白く、一気読み。
『ミッドナイトイーグル』『ファイアー・フライ』などなど・・
『風をつかまえて』・・これはつい最近読んだ作品。
風車という自然エネルギーに焦点を当てた、「ポスト原発」時代の再生物語。
メジャーな作家とは言えないが、どれもこれも、素晴らしい取材力・分析力で迫力の作品ばかり。
一読の価値ありです。