娘の職場

分かる人にはわかる話

先日、先輩たちと一緒に懐石のお昼を食べに行った。今までに、何度かお邪魔しているお店。

きっかけは、娘が“女中(仲居)さん”としてお世話になったこと。働き始めて、半年くらいに、家族でお邪魔して、雰囲気ともちろん美味しいお料理と、そして、女将さんの人当たりが気に入って、先輩たちに付き合ってもらったり、遠くからいらした友達をお連れしたりと何度か行っている。いつも、私の席の担当は、娘が務めてくれ、私が日ごろお世話になっている人たちを紹介する機会にもなっていた。

今年の春、以前から娘が「辞める」と言っていた通り、お暇した。その決断までにも彼女なりにいろいろあり、私も一旦は引き留めたりしたけれども、仕方がないと彼女の決断を受け入れたのは随分前だった気がする。

今回は、彼女が辞めてから初めてお店に伺う機会だったので、それとなく彼女にも「お店に行ってくるよ」から始まり、いろいろとLINEしていた。そして、お店から帰って、いろいろなことをまたLINEで伝えた。

「お店のみなさんお元気そうだったよ。」

「お部屋はFさんが担当だったよ。あなたが居なくて、忙しくなったって、でも頑張ってるって。」

「若いお嬢さんが居て、名乗ったら、あなたにはとてもお世話になったって言ってくださったよ。」

娘からは「お店、忙しそうだね。」「お料理はどうだった?」と返信が来たので、先輩が撮ってくださった写真を送りつつ、LINEでの会話を続けると、

「蕎麦の椀と、水物(デザート)が変わったね。」「盛り付けは流石だね、粋な感じがして素敵だね。」と返ってきた。

彼女は仕事が嫌で辞めたわけではない、同僚が嫌いで辞めたわけでもない。強いて言うならば、その好きを持続するエネルギーが減っていくことへの恐れがあった、ということなのかもしれないと、彼女とのLINEの会話で改めて感じた。

最後に、彼女が働いていた時と同様、「手土産はシュークリームにしたよ」と伝えると、「みんなシュークリーム大好きだから、きっと喜んでたよ。」と返ってきた。

※写真は、お造り。右のお皿は三日月を型どり、左のお皿はお料理を食べ終わるとウサギが現れる。遊び心と粋な演出がなされていました。