再会
ムーラン(林)です。
ピンポーン。
ある日の昼下がり、玄関のチャイムが鳴った。
インターフォンから聞こえてきたのは「〇〇です。」 ありふれた苗字、そしてしゃがれたおじさんの声。
私は警戒心丸出しで「どちらの〇〇さんですか?」と聞いた。
すぐに「〇〇 〇です。」とフルネームを名乗ってくれた。
「えぇ〜っっ」誰だかすぐ分かった私は叫びながら玄関を開けた。
そこには、30年以上会っていなかったその人が笑っていた。
若い頃、夫も含め仲が良かった人。少し年上だけど、気さくで話しやすくて。
一緒にいろんな所に遊びに行き、楽しい時間を共有していた。思い出は数知れない。
が、先方の事情でなかなか会う事が難しくなり、遂には年賀状だけの関係になってしまっていた。
でも、お互い子宝にも恵まれ、幸せに暮らしている事は知っていた。そして今や孫もいる事も。
驚き、叫びながら玄関に出た私に「ムーラン?」と懐かしい笑顔。
「うん。」と私。
お互い面影はあるものの「全然変わらんね〜と言いたいけど、それなりに年取ったね、お互い。」
「ホントだよ。」と言い合い、笑った。
ちょっと涙が出そうだった。
彼は年賀状の住所だけを頼りに、スマホで検索しながら訪ねてきてくれたのである。
「分からなかったら諦めて帰ろうと思った。でもここまでちゃんと来られたよ〜」と。
すごくいろんなことがあって、いろんな経験をして、たくさんシワもあったけれど。
でもその人は相変わらず、気さくで親しみやすい人そのままだった。
夫はたまたま出掛けていて会えなかったのだが、その後連絡して翌日会いに行った。
また繋がることができた。再会できた。 ありがとう。思い出してくれて。
長く生きていると、こんな嬉しいサプライズもあるものなんだな〜と思った。
他にも、長い間年賀状だけの関係になっている古い友人が何人かいる。
私も住所とスマホを頼りに訪ね歩いてみようかな。
お互い「年取ったね〜」と笑い合えるだろうか。