榊原(葉っぱ)です。

母は今グループホームにいる。
昨年の今頃は母はまだ料理も作っていたし(できあいものが多くなったり味がおかしくなっていたが)、お化粧もしていたし、私のこともわかっていた。
私が3月末で退職した頃から母はおかしくなっていった。
やさしかった母が私を「泥棒」だと言い出し、近所の人に私の悪口を言って歩くようになった。
身に覚えのない作り話に私は心が折れた。
母にしたら作り話でなく本当のことなんだろうけど・・・。
私のことを「あいつ」とか「やつ」とか言うようになり、父を蹴り、私も父も限界だった。
病気とわかっていても、病気がしていることだとわかっていても、私は許せないこともあった。

あんなこと、こんなことがあり、今グループホームでは時々笑顔を見せてくれる。
でも、もう私のことをわかっているのかどうかわからない。
父のことはわかるみたいだ。
私の話に答えてくれるし、時々思い出話もしてくれる。
ひ孫を見て「大きくなったね。」とは言う。
でも、私のことは誰なのかわからないのだと思う。
母は私のことを今でも泥棒と思っているのだろうか。
自分の娘のことを「あいつ」と思っているのだろうか。

新型コロナウイルス拡散防止のため、今はグループホームに面会に行けない。
どうしているのだろうなと思う。

春らしくなってきたので、庭にある納屋を整理していたら、たくさんの種類の種が出てきた。
朝顔、おしろい花、ほうき草、ふうせんかずら、ルピナス、ハーブ、スイートピー、千鳥草など。
母が種として取ったものだ。
ひとつひとつ名前を書いて瓶に入れてある。
大根の花と書いてあるものもあった。調べてみるとそんな花はなかった。
でも、私はわかる。あのむらさきの花だ。春になると庭一面に咲いていた。
母がよく「大根の花」と言っていた。
大根にならなかったから違うなと思っていたけど、ひょっとしてそうとも言うのかもしれない。

母の字だ。私はそれを見てたらぽつんと涙が出た。
そう、そう、いつもお庭にいたね、おかあさん。
お別れの時、おかあさんが私をわからないのが悲しい。
「ありがとう。」が伝わらないのが悲しい。

種まくよ。そして、やさしかったおかあさんを思い出すよ。
産んでくれてありがとう。育ててくれてありがとう。
3月4日、もうすぐおかあさんの誕生日だね。お誕生日おめでとう。
面会に行けないのが悲しい。早く会いたい。

新型コロナウイルス早く収束しますように。